東京高等裁判所 昭和32年(ネ)1215号 判決
控訴人のなした上記認定の仮差押及び強制執行は本件第二の建物に対しなされているようで、控訴人のなした保存登記が無効である以上、被控訴人が右強制執行に対し異議を述べる利益がないようにみえる。しかしながら、須田宗則が静岡市馬渕町一丁目九番地に所有していた家屋は一棟しかなく、控訴人がなした本件仮差押及び強制執行は須田宗則所有の右同所々在の家屋に対してなされたものであることは、控訴人自らが主張しており、仮差押及び差押の登記がなされている第一の登記簿も、上記認定のように本件第一の建物と全く同じに変更登記がなされているのであるから、その登記が無効であるとしても、右のような関係にある以上、強制執行は本件建物に対してなされていないことが被控訴人、執行裁判所その他第三者の関係で明白であるとも断定できない。したがつて、また右強制執行によつて本件建物が競落された場合には、被控訴人と競落人との間で本件建物の所有権について紛争が生ずることが必至であることも明かであるから、形式的には本件建物に対して有効になされているようにみえる右強制執行の排除を求める利益を有するものと認めるを相当とする。
(村松 伊藤 土肥原)